厳しかった冬の寒さも和らぎ、春の陽気に包まれる今日、私たち卒業生一五四名は、加藤学園暁秀高等学校を卒業します。本日は私たちのためにこのような式典を挙行していただき誠にありがとうございます。卒業生一同、心より御礼申し上げます。
今、私たちが歩んできた三年間を振り返るとさまざまな光景が思い出されます。
期待や不安を胸にはじまった高校生活。
新しく出会う仲間や先生、密度の濃い授業などに私たちは緊張しながらも毎日ワクワクしていました。また新入生として授業や部活動、暁秀祭などを経験し、これからの高校生活により大きな期待を膨らませていたのも懐かしい思い出です。
しかし私たちの思い描いていた夢の高校生活は2年前、高校一年生の冬にいとも簡単に姿を消してしまいました。
世界を脅かす感染症の影響で学校に登校することができなくなり、多くの活動が制限され、事前学習を進めていた沖縄への修学旅行までも中止となり、高校生活を彩る色が次第になくなっていきました。
色づくことのない生活はまるで一分が一時間のように感じられ、辛く苦しい時間でした。
しかし、オンラインに活動の場を移し、絵本の読み聞かせ動画の配信やオンライン模擬国連など、同じ志を持つ新たな仲間と活動することで、協調性や豊かな想像力を養うこともできました。
そして、三年の春、暁秀祭を開催に導こうと尽力する先生、制限のある中でも精一杯の活動をしていた実行委委員や応援団の姿を見て、どんな状況であっても諦めないこと、希望を持つことの大切さに気付かされました。オンライン開催など多くの「初めて」とともに行われた暁秀祭は、コロナと共存していく時代の新しい活動の在り方として、今後も活かされていくことでしょう。
またこの三年間は何気ない日々の中にある大切なものに気付かされる時間でもありました。
毎日のように顔を合わせていたクラスメイト。どんな時でも精一杯努力する仲間の姿が私たち一人一人の活力となり、支えになっていました。共に卒業できる喜びを覚える一方、寂しさを感じずにはいられません。
そして時には優しく、また時には厳しく指導をしてくださった先生方。悩んでいる時には、側に居てくれる先生だからこそ言えるアドバイスに何度も救われました。本当に感謝しています。
また何より、家に帰ると毎日暖かい笑顔で私を迎えてくれた家族。常に私の一番の理解者でいてくれて、将来への道を応援してくれて、たくさんの愛を注いでくれてありがとう。
卒業という節目を迎える今日、多くの支えを受けた私たちは、自分の力で未来を歩み始めます。親元を離れ、社会の一員となり、やがては自分たちが人を支える立場になります。
これからの社会を築いていくには、コロナや世界情勢、環境問題など多くの困難と向き合い、その解決に寄与していかなければなりません。そのためには常に学習と変化が求められていくでしょう。
かつてのノーベル平和賞受賞者・コフィー・アナンもこう述べました。
“Knowledge is power. Information is liberating. Education is the premise of progress, in every society.”
彼の言葉の通り、これから進む道は違えども、私たちは熱意や学ぶ喜びを生涯持ち続ける人となり、より良い社会のために精進することをここにお約束いたします。今日という日は新たな学びへの始まりである。そんな決意を胸に私たちは、この校舎から大きな一歩を踏み出します。
最後になりましたが、母校のさらなる発展と、先生方、学校関係者の皆様のご健勝を祈念し、卒業生の挨拶といたします。
令和四年三月十日 卒業生代表 森美結