2025年3月24日月曜日

令和6年度 暁秀高等学校 卒業式 答辞

 答辞


 沼津の風の強い冬が過ぎ、桜のつぼみとともに春の訪れを感じる今日、私たち一三七名は加藤学園暁秀高等学校を卒業します。本日はこのような素晴らしい卒業式を挙行していただき誠にありがとうございます。お忙しい中足を運んでくださったご来賓の皆様、そして保護者の皆様、卒業生一同心よりお礼申し上げます。


 高校三年間で私たちの世界は大きく広がりました。様々なことを経験し、学んだことで、自分と周りの人たちだけで構成されていたものが、世界に続く広大無辺なものになりました。


 まず、学問が私の世界を広げてくれました。日々の授業で新しい知識を得、私たちは毎日少しずつ知見を広げていきました。歴史の授業では時間をさかのぼり、世界を駆けめぐることで、私たちが住む現代社会の構図の理解につながりました。国語の授業では、新しい価値観に遭遇するたびに困惑しながらも、その作品の時代背景や登場人物を分析することで、自分の考え方とは違っていても、他人の価値観を尊重し、受け入れることができるようになりました。数学の授業では、難問を前に迷子になりながらも、手順を一つずつ踏み、答えにたどり着くまで丁寧に、一行一行、解答用紙に式を書き続けました。化学では、日々身の回りで起きる現象を分子レベルで考え、あらゆるものを構成する小さな粒を通して世界を理解しようとしました。このようにして、私たちはこの三年間で膨大な知識を得ました。これらの中には、社会に出たときに役立つこともあれば、この先一生思い出すことのないものもあるでしょう。しかし、私たちはこれらを学ぶプロセスで、「考える力」を得たことは確かです。夏目漱石の『こころ』を読んだとき、「私」と「K」それぞれの立場に立って考えたこと、数学の問題を解くときに論理的に筋道を立てて答えにたどり着けたこと。すべては私たちの「考える力」を育んでくれました。そしてこの「考える力」は、これから社会に出ていく私たちにとって、大きな糧となるでしょう。

 

 次に、ここで出会った仲間が私の世界を広げてくれました。私たちがともにした暁秀祭や修学旅行は、最高の思い出です。文化祭で、クラスのみんなで力を合わせて企画した模擬店。みんなであれこれと意見を出し合い、前日は下校時間ギリギリまで、当日は早朝から開店直前まで飾り付けにこだわった3Zのお店は私の誇りです。修学旅行で訪れた九州では、長崎原爆資料館、雲仙岳災害記念館、中華街などを巡り、ホテルの部屋では毎晩遅くまで語り合いました。球技大会では本気になって戦い、涙も流しました。これらの非日常的な行事の思い出とともに、教室で過ごした日常も、今となってはかけがえもない思い出です。課題が終わらない、とぼやいたり、移動教室から忘れ物をみんなでホームルームに取りに戻ったり。欲を言えば、もう少しみんなと一緒にいたいです。私は仲間から本当に多くのことを学びました。信頼している人だからこそ、本気で自分の意見をぶつけられること。共通の思い出について語り合えることのうれしさ。本当に慕うことができる仲間がいることの尊さ。みんなには、言葉では言い表せないほどの感情でいっぱいです。時には腹を立てたこともありましたが、いま振り返ると、みんなのおかげで私は「高校3年間楽しかった」と素直に言い切ることができます。大げさに聞こえるかもしれませんが、仲間のおかげで、私の世界は豊かになり、仲間は私の世界に彩りを与えてくれました。


 そして、先生方。卒業生を代表して、今まで私たちのためにしていただいたことすべてにお礼申し上げます。私が五年間携わった生徒会活動から学んだことの一つに、先生方はいつも一番に生徒のことを考えてくださっている、ということがあります。先生方は授業やホームルーム、日常の何気ない会話でまで、いつも私たちにもっと大きい世界があることを教えてくださいました。先生方が教えてくださったことがなければ、私は世界はこんなにも広いものだとは知りませんでした。五年間にもおよび大きな愛情を持って担任してくださった一木先生を始め、私は、関わりのあった先生方はもちろん、全ての先生方にお礼申し上げます。今まで本当にありがとうございました。またいつか、何かあった時には、頼らせてください。


 在校生の皆さん、今日は私たちの門出を祝うために参列していただき、本当にありがとうございます。私たちは、今までさまざまな形で皆さんに支えられてきました。テスト前や部活動での応援の一言が、本当に力になりました。これからみなさんにも、大変なこともあるかもしれませんが、一日一日を楽しんで、悔いのない高校生活にしてください。応援しています。


 最後に私の家族へ。ここまで私の世界が広がった、と言ってきましたが、それはなによりも、家族がいなかったらできませんでした。私を快く数々の課外活動に参加させてくれたこと。毎日愛情たっぷりのお弁当と一緒に学校に送り出してくれたこと。本当に、感謝でいっぱいです。これから先も、私がどこに行っても、私の世界の中心には家族がいるでしょう。


 この三年間、私たちの世界は大きく広がりました。しかし、それとはくらべものにはならないくらい速いスピードで、世界情勢は変化しています。世界には多くの問題があり、それは日々増えるばかりです。私たちは今日、加藤学園暁秀高等学校を卒業しますが、何らかの形で、これからも変わりゆく世界について学び続けなければなりません。私たちはこの学校で得たすべての力をもって、社会をよりよくするために、それぞれの努力を続けます。




 最後になりますが、母校の更なる発展と、先生方、学校関係者の皆様のご健勝をお祈りすると共に、私たちがこの場に立つまでサポートしてくださったすべての方々に限りない感謝を込めて、答辞とさせていただきます。


令和七年三月十日 

卒業生代表 ヤング藤代愛紗





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